貝類(KAIRUI)

鳥貝の握り寿司の画像
鳥貝の握り

鳥貝の握り

【握り寿司: 貝】鳥貝は陸奥湾から九州にかけて分布し、水深10~30mくらいの砂泥底に生息する。殻には40本ほどの溝が放射上に走っていて、溝には毛が密集している。見た目が鳥のくちばしに似ていることから鳥貝の名がついた。墨の色が美しいほど、鮮度がいい。身の厚い物が最上とされ、やわらかい身を噛みしめれば、独特な風味とくせのない上品な甘さが特徴だ。これを好物としている食通は少なくない。活けの鳥貝は生でも食べられますが、生々しいクセのある香りがあるので、湯がいてから使う。逆にこの香りを活かす場合は、生で食べる。いずれの握りも甲乙付け難い。ちなみに、江戸前の伝統的なスタイルにこだわるすし店では、湯がいてから甘酢(砂糖+酢)にくぐらせたものを握る。

2月に大阪湾が出始め、3月になると三河、伊勢湾、6月にはトリガイ養殖で国内最大の出荷量を誇る舞鶴の鳥貝が出回る。

鳥貝は環境の変化に敏感で、時として大量発生するかと思えば、低酸素に弱く大量に死んでしまうこともある。市場では漁獲した海の海水に浸し、エアーポンプで空気を送る光景が目に付く。取り扱いには注意ということである。そのゆえ、貝の種類の中では、例外的に産地で剥いて、ボイル加工されて市場に出荷されるのであった。

それが鳥貝の活け(殻付きで生きた状態)での流通が始まり、すし職人はその旨さを表現する選択肢が広がった。仕入れは、活きの良いものをきちんと鮮度管理しているところから仕入れ、仕込みまでの間も細心の注意を払わなければならない。活きが悪くなると、味が落ちるだけでなく、表面の黒い色素がとれやすくなってしまうからだ。そして元から黒い色素はとれやすいため、殻から外した後、ガラス板などを使い、滑りやすくして処理する。活け物は産地で加工されたものと比べれば、甘みと瑞々しさが段違いです。噛む程に口中に広がる特有の甘さ、そして柔らかさの中にしなやかな食感を有し、シャキシャキと心地よい噛み応えがある。

かつて江戸前(東京湾)の鳥貝は絶品と言われましたが、埋め立てによって全滅に近い惨状です。最近は三河湾産や瀬戸内海産などが重宝される。ちなみに冷凍物の多くは、韓国産や中国産です。

【トリガイの蘊蓄】
寿司屋では、赤貝やトリガイをまな板に叩きつけたり、手の上で叩く職人がいる。これは、叩くことによって貝の身がきゅっとしまり、歯応えが良くなるからだ。

【トリガイの漁法】
底曳網、貝桁網など

【トリガイの基本データ】
分類:マルスダレガイ目ザルガイ科トリガイ属
学名:Fulvia mutica (Reeve,1844)
地方名:トンボ、カワトリガイ、トリゲ
由来:足の部分が、鳥のくちばしに見えることからきている。

主産地

愛知 東京湾 大分

名産地

富津 三河湾

4~6月