煮もの(NIMONO)

シャコの握り寿司の画像
蝦蛄の握り

蝦蛄の握り

【握り寿司: 煮もの】シャコは北海道以南の日本沿岸から台湾、中国北部沿岸あたりまで分布する。内湾の潮間帯から水深10~30mの砂泥地までに生息する。エビ類に似るが全くの別種で、第二歩脚が巨大で伸ばすと鎌状であることと、前方に飛び出した複眼を持つ。全長は最大20cmに達する。

シャコは生きている時は、灰色や薄茶色をしている。茹でると一変する。シャクナゲの花のような赤紫色に変わる。このことからシャクナゲと呼ばれていたが、それがどういうわけか訛ってシャコと呼ばれるようになった。

シャコは基本的に浜ゆでと呼ばれる、水揚げされた産地で茹でたものを仕入れる。シャコは死ぬと、自己消化といって身が溶けてくるため、活きたまま浜ゆでした方が質が高いものが多いからだ。

塩茹でした身は海老とは違う肉質で、何とも言えない芳醇な香りがたまらない。晩秋の脱皮前も旬ではあるが、春先から初夏にかけて獲れる子持ち蝦蛄が最上とされる。カツブシと呼ばれる卵は絶品だ。

寿司屋では子持ちのシャコを酒肴に、オスを寿司ネタに使う。オスの方が旨みが強いことと、卵が無いので握りにしたときにシャコの身とシャリ(寿司飯)との馴染みがいいからだ。握った後の調味は、シャコの状態やお客の好みを考慮して、ツメ煮きり、塩を使い分けることもある。温度も常温や炙ったりと臨機応変に対応する。

ここからは私見になりますが、寿司飯との相性を考えれば、抱卵の時期より、秋口になり身が詰まってくる時期の方が食べ頃と言える。またすし職人は「シャコ爪」と呼ばれる脚の身をわざわざ取り出して提供することもある。甘さひと際で、通好みのつまみとなる。

【シャコの目利き】
活きたシャコは、活発に動き、頭がしっかりしているものが新鮮だ。茹でた剥き身は、色が鮮やかで、さらりとしてものが新鮮である。逆にべたつくものは、古い。

【シャコの漁法】
刺網、底曳網など

【シャコの基本データ】
分類:口脚目シャコ科シャコ属
学名:Oratosquilla oratoria (De Haan,1844)
地方名:ガレージ、ガサエビ、シャク、シャコエビ、ガタエビ
名前の由来:前述の通り。

主産地

瀬戸内海 有明海 三河湾

名産地

小柴 小樽 七尾 笠岡

6月~7月