赤身(AKAMI)

鰹の握り寿司の画像
鰹の握り

鰹の握り

【握り寿司: 赤身】
春から初夏にかけて日本列島を北上する鰹は、「上りガツオ」または「初ガツオ」と呼ばれる。脂はうっすらと乗る程度で、味わいはすっきりとしている。代表的な初ガツオには、和歌山県のケンケン鰹、東京・八丈島の樽ガツオ、千葉・勝浦の引き縄日戻りカツオなどがある。

一方、夏から秋にかけて太平洋を南下する鰹は、「下りガツオ」または「戻りガツオ」と呼ばれる。こちらは脂がたっぷり乗り、青ネギ(またはあさつき)や生姜を添えると特に美味しい。秋に三陸沖でUターンする戻りガツオは、脂の多さから「トロガツオ」とも呼ばれている。

また、「根付き鰹」と呼ばれる、特定の海域にとどまる魚群も存在する。鹿児島県の種子島や長崎県の壱岐などで見られ、6月頃の根付き鰹のスナズリ部は、メジマグロのトロを思わせるほど脂が乗っている。

さらに、本来は春に太平洋を北上するはずだった群れから外れ、日本海を北上する鰹もいる。これらは「迷いガツオ」と呼ばれる。「迷い」とは、日本語で「道に迷う」という意味である。迷いガツオは11月後半頃、ブリ漁用の定置網で漁獲されることが多い。身は締まり、冷たい日本海を泳ぐために十分な脂肪を蓄えている。風味が豊かで甘みも強いが、漁獲量は非常に少ない。豊洲市場への入荷量は旬のカツオの10%にも満たず、そのため価格も春や秋の鰹よりはるかに高価となる。

現在、日本近海で獲れる鰹には、大きく3つの旬があるとされる。一般には、脂の多い秋の戻りガツオや冬の迷いガツオを好む人が多い。しかし握り寿司の世界では、事情が少し異なる。寿司店で鰹が一般的に使われ始めたのは1960年代半ば以降で、それ以前は個体差の大きい魚として敬遠されることもあった。実は寿司における鰹の旬は、今でも春と考えられている。脂は少ないものの、瑞々しく、爽やかな香りと若々しい風味があるためだ。

寿司の世界では、「若い魚には生命力に満ちたエネルギーが宿る」という考え方から、若い魚を好む傾向がある。そのため、戻りガツオを握らない寿司職人も少なくない。

【カツオの生態】
カツオは世界中の熱帯および温帯海域に生息する回遊魚です。日本では太平洋沿岸と九州西岸に特に多く生息していますが、日本海ではあまり見られません。カツオは流線型の紡錘形の体型をしており、背中は濃い青色、腹は銀白色です。死後、体側に数本の黒い横縞が現れます。成魚は体長1メートルほどに成長します。

カツオはサバなどと同様に自己消化の早い魚、すなわち足が早いので、昔は毒のある魚という迷信があり、生食されなかった、刺身で食べるようになったのは、物流がいささか発達した鎌倉時代からと言われる。そして江戸時代、鰹の刺身は美味ということがわかり、にわかに人気が上昇した。

鮮度が落ちやすいので、寿司タネになったのは昭和に入ってからのことです。鰹の味が濃厚に感じるのは、イノシン酸の他にクレアチンやヒスチジンなどの窒素を含む物質があるからです。またアンセリンとカルノシンが多く含まれる。これらは2個のアミノ酸が結合したジペプチドの一種で、活性酸素を抑える働きがあり、老化防止や疲労軽減に有効であるという研究結果が報告されています。

現在では、大型船による沖合漁業が盛んで、船上で急速冷凍され、新鮮な鰹が1年じゅう出回っている。何せ解凍されると、そこから熟成が始まるので、状態のいいものが手に入る時代だ。

【カツオのトレビア】
北条五代記の記録によると、鰹漁を見物していた北条氏綱の船に鰹が飛び込んできた直後の戦いで大勝したことから、武家の間で縁起の良い魚とされ、出陣や元服の祝宴で鰹が供されたという。

【カツオの目利き】
カツオは、背側の身と腹側の身とでは、香りも味も大きく異なる。魚は腹側に脂が乗っており、好まれるのですが、上物のカツオは背側が断然美味しい。ちなみに、カツオ一匹 (3kg)では約80貫の握り寿司が作れる。そして縞模様が鮮明に見え、表面がザラザラしているもの、そしてエラが鮮やかな朱色をしていて、ヌメリがないものが鮮度が良好である。実はカツオの縦縞模様は普段は見えないが、天敵に出会った時や釣り上げられた時など、極度の興奮状態に陥ったとき、或いは死後にこの縦縞が現れる。

【カツオの漁法】
竿釣り、巻き網など

【カツオの主産地とその時期】
鹿児島(1~10月)
外浦(2~6月)
南郷(2~6月)
和具(3~5月)
御前崎(3~7月)
房州勝浦(3~7月)
銚子(7~9月)
石巻(6~7月)
気仙沼(3~11月)

【カツオの基本データ】
・分類:スズキ目サバ科カツオ属
・学名:Katsuwonus pelamis (Linnaeus,1758)
・地方名:マンダラ(北陸、北海道)、トックリ(静岡県、小型:東京)、ビンコ(宮崎県)、ヤマトガツオ/カチュウ(沖縄県)、スジガツオ(和歌山県、高知県)、マガツオ(高知県、九州地方)、ヤタ、ホンガツオ(長崎県、福岡県)、ヤマトガツオ、スジ(山口県、和歌山県)、カツ(東北地方)、ヤツ(宮城県)、カツウ(小名浜)、サンゼンボウ(伊豆)、カツトウ(土佐)、ガラ(薩摩)、オオカツ(宮城県)、カギカケガツオ(伊豆)、タテマダラ(島根県)、オオガツオ(高知県)
・魚名の由来:堅い表す「堅し」に、「魚」で、「かたうお」となり、それが転じて「カツオ」になったとされる。また干すと堅くなるので、カタウオといい、それがカツオになったということです。そして仏教でいう殺生が厳禁だった時代、かつお節を木片と偽って売買したためにこの名があるとも言われる。
栄養成分:DHA970mg、EPA400㎎(戻り鰹)

(2026年5月22日加筆)

主産地

高知 和歌山 千葉

名産地

和歌山 勝浦

春・秋