【握り寿司: 魚卵】
シラヒゲウニは殻が薄く身崩れしやすいため、一般的には軍艦巻きで提供されます。身は淡い黄色で、エゾバフンウニなどに比べて甘みが穏やかで、上品な磯の香りとすっきりとした後味が特徴です。天然資源の減少により漁獲量が極めて少なく、産地である沖縄や奄美でも味わえる機会は限られています。そのため、東京で食べられる機会はさらに少なく、非常に希少な寿司ネタです。しかし、東京・荒木町の人気鮨店『鮨 わたなべ』では、夏の限られた時期にスペシャルメニューとしてシラヒゲウニが提供されることがあり、知る人ぞ知る季節の逸品となっています。
【シラヒゲウニの生態】
シラヒゲウニは、房総半島以南の太平洋沿岸から九州、琉球列島、小笠原諸島にかけて分布する暖海性のウニです。国外では、インド洋から西太平洋にかけて広く分布しています。潮間帯下部から水深30mほどまでのサンゴ礁や岩礁、海草藻場に生息し、殻径は8~15cmほどに成長します。殻は淡緑色から緑褐色、棘は白色から淡い灰色で比較的短く、先端が白く見えることから「シラヒゲウニ」の名で呼ばれています。
シラヒゲウニの主な産地は沖縄県や鹿児島県奄美群島です。奄美では資源保護のため漁期が8~9月に限定されています。近年、シラヒゲウニの資源は大きく減少しており、その要因として過剰漁獲に加え、海水温の上昇や台風などによる生息環境の変化、餌となる海藻類の減少など、複数の要因が影響したと考えられています。沖縄県では資源回復を目的として種苗生産や放流、養殖技術の開発が進められていますが、現在も安定した商業養殖には至っておらず、希少性の高い食材となっています。
【シラヒゲウニの旨み成分】
国立台湾海洋大学の研究者らが台湾産シラヒゲウニ(Tripneustes gratilla)の生殖腺を分析した研究では、遊離アミノ酸の中でもグリシンが最も多く含まれ、アラニンやグルタミン酸なども主要な成分であることが報告されています。グリシンとアラニンは甘味に寄与するアミノ酸として知られており、シラヒゲウニのやさしい甘みを構成する重要な成分と考えられます。
一方、ウニの苦味にはバリンなどのアミノ酸が関与し、メチオニンはウニ特有の風味や後味に影響するとされています。これらの遊離アミノ酸の含有量は、季節や生殖腺の状態などによって変化することも分かっています。
シラヒゲウニは、グリシンをはじめとする甘味系アミノ酸が豊富であることから、やさしい甘みを感じやすいウニといえます。そのため、味わいは比較的穏やかで、すっきりとした後味を感じられるのが特徴です。
【シラヒゲウニの基本データ】
分類:ホンウニ目オオバフンウニ科シラヒゲウニ属
学名:Tripneustes gratilla (Linnaeus, 1758)
地方名:シラヒゲ、シラヒゲガゼ、パイプウニ
沖縄 鹿児島
7~8月