【握り寿司: 貝】
ミル貝の正式名称は「ミルクイ」です。寿司屋や市場では一般に「ミルガイ」と呼ばれます。寿司ネタになるのは殻から大きく伸びた水管で、1個の貝から取れるのは2~4貫ほどしかありません。乱獲に加え、生息環境の悪化によって資源は減少し、現在でも瀬戸内海や三河湾などで漁獲されるものの、水揚げはごく限られています。そのため、天然のミルクイは非常に希少で高価な寿司ネタとして知られています。
しかし、多くの回転寿司店では「ミル貝」が比較的リーズナブルな価格で提供されています。しかも、ネタは天然ミル貝よりも白く見えることが少なくありません。実は、その多くは「白ミル」と呼ばれるナミガイ(Panopea japonica)です。主な産地は愛知県や千葉県で、ミルクイよりも白く太い水管を持つことから「白ミル」と呼ばれるようになりました。
白ミルは、濃厚な旨みを味わうというよりも、シャキッとした繊維質の歯切れと、クセの少ない上品な味わいを楽しむ寿司ネタです。味わいは比較的あっさりしていますが、軽く炙ることで香ばしさが加わり、控えめな旨みや甘みがより感じられるようになります。
しかし、この白ミルも近年は漁獲量が減少しています。その不足を補うため、現在ではカナダやアメリカからPacific geoduck(Panopea generosa、King clamとも呼ばれる)が数多く輸入されています。豊洲市場では、この輸入種も「白ミル」として流通しており、多くの寿司店で使用されています。近年は輸入量の減少や需要の高まりによって価格も上昇しており、かつて「代用貝」と呼ばれていた存在も、今では高級食材の一つになりつつあります。
【白ミルの生態】
白ミル(ナミガイ、Panopea japonica)は、日本沿岸に広く分布する二枚貝です。北海道南部から九州までの砂泥底に生息し、水深10~50mほどの海底に長い水管を伸ばして暮らしています。殻の長さは15cm前後まで成長しますが、水管は殻よりもはるかに長く、20~30cmほどになることもあります。寿司ネタとして使われる水管は白く太いことから、「白ミル」と呼ばれるようになりました。
【白ミル(ナミガイ)の基本データ】
分類:オオノガイ目キヌマトイガイ科ナミガイ属
学名:Panopea japonica A.Adams,1850
地方名:シロミルガイ、オキナノメンガイ、カモガイ
由来:前述の通り。
(2026年7月14日加筆)
愛知 千葉
春