【握り寿司: エビ・カニ】
日本人にとって、伊勢海老は特別な存在です。風格のあるヒゲや甲冑を付けたような姿、そして茹でたときの真っ赤な色から、お祝い事に欠かせない縁起物として、長く扱われてきました。また、長寿のシンボルでもあります。
活きたまま流通している伊勢海老は、生のまま握りにしても、湯霜にして甘みを引き出して握りにしても美味しいものです。熱を加えると赤く発色するため、見た目にも豪華になります。また、昆布締めにする寿司職人もいるため、水分量を調整することが仕込みのポイントになります。
一方で、廃棄する部分の割合が60%と可食部が少なく、姿ごと料理に使われることが多い食材です。正直、握り寿司にするのはもったいない気もします。しかし、その身には弾力があり、特に旨み成分のグルタミン酸、甘味を呈するグリシン、アルギニンなどが車海老と同等に含まれています。これだけの旨みと甘みがあるのですから、握り寿司にして不味い理由はありません。
豊洲市場では、国内産の伊勢海老は時期によって変動しますが、卸売価格でおおむね1kg当たり5,000~10,000円程度で取引されています。「あがり」と呼ばれる死んだものの商品価値は低い。
仕入れ値を考えると、握り寿司として仕立てられる機会はそれほど多くありません。寿司店よりも日本料理店やフランス料理店で提供されることが多く、寿司店ではマグロの解体ショーのように、伊勢海老そのものを見せる料理として扱われることもあります。
ちなみに、伊勢海老という名前は、伊勢地方を含む伊勢半島で多く漁獲されることに由来します。この地域で獲れたものは味が良いとされますが、現在では千葉県が最も多い漁獲量を誇っています。
【伊勢海老の生態】
伊勢海老は、茨城県以南の太平洋岸に生息し、台湾まで分布する。体長は最大40cmに達する。有名な産地としては、千葉県、和歌山県、静岡県、三重県などである。
【代替伊勢海老】
豪州伊勢海老(Panulirus cygnus George, 1962)、ミナミイセエビ(Jasus edwardsii (Hutton, 1875))など
【伊勢海老の禁漁期間】
三重県: 5月1日〜9月30日
千葉県: 6月1日〜7月31日
静岡県: 5月15日〜9月15日
和歌山県: 5月1日〜9月30日
徳島県: 5月15日〜9月15日
【伊勢海老の目利き】
活けのものが望ましい。弱り始めると尾や手足を動かさなくなります。死んでしまったら価値は半減する。300g前後のものを選ぶこと。大きくなるとやや大味になる。裏に返して、腹が真っ白ではなく、薄い桃色のものが甘みがあって美味しい。
【伊勢海老のトリビア】
昔は「おめでタイ」席で、必ず「タイ」と並んで登場しました。これは、エビのように腰の曲がるまで、元気でいられることへの願いが込められたいたためです。
【伊勢海老の基本データ】
分類:十脚目イセエビ科イセエビ属
学名:Panulirus japonicus (von.Seibold,1824)
地方名:カマクラエビ
由来:伊勢湾でたくさんとれたため、その名がついた。
(2026年10月2日加筆)
三重 千葉
秋~冬