【握り寿司: イカ・タコ】
春から初夏に産卵・孵化したスミイカの稚イカが、夏場に成長して胴長5〜10cmほどになったものを「新イカ」と呼ぶ。夏にしか出回らない季節限定の食材であり、その希少性から寿司通をうならせる高級ネタとして知られている。
最大の魅力は、成体のスミイカをはるかに上回る柔らかさと繊細な甘みにある。身は薄く透き通るように美しく、口に含むと淡雪のようにほどけ、上品な甘味だけを残して消えていく。
一昔前、江戸前寿司におけるイカといえば東京湾のスミイカだった。東京湾で新イカが獲れるのは初秋。その後、季節が進んで凍てつく寒さを迎える頃には、身はむっくりと厚みを増し、甘味もより濃厚になっていく。
もっとも近年では海水温の上昇などの影響もあり、新イカの出始めは早まる傾向にある。かつては初秋の風物詩だったが、現在では7月頃から市場や寿司店に並び始めることも珍しくない。
漁獲量が限られるため市場では高値で取引され、初物となる初取引では1kgあたり数万円の値が付くこともある。その年の新イカを待ち望んでいた寿司店が競り合うためで、握り一貫が成長したスミイカを上回る価格になることも珍しくない。特に走りの時期には、新イカ一杯を丸ごと使って一貫の握りに仕立てることもあり、旬ならではの贅沢な味覚として珍重されている。
【シンイカの基本データ】
分類:コウイカ目コウイカ科コウイカ属
学名:Sepia (Platysepia) esculenta Hoyle,1885
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(2026年6月15日加筆)