魚卵(GYORAN)

イクラの軍艦巻きの画像
イクラの握り

イクラの握り

【握り寿司: 魚卵】
イクラとはロシア語で魚卵の意味だ。イクラの原料には、主に定置網で漁獲された産卵前の秋鮭(シロザケ)の卵が使われる。鮭は川へ遡上して産卵が近づくにつれて卵膜が徐々に硬くなるため、寿司店や加工業界では、まだ海にいて卵皮が柔らかい時期の「銀毛」と呼ばれる秋鮭の卵が高く評価される。実際に、水産加工研究では成熟が進んだサケ卵ほど卵膜の硬化が進むことが確認されており、一般向け解説でも「川へ遡上し水を飲むと卵が硬くなる」と説明されている。

寿司職人は白鮭の卵の皮が薄い時期に一つ一つばらして、醤油、みりんなどから作る漬けダシに寝かせて作る。一部の寿司店では、つけ汁に醤油を使わず、塩漬けとする。どちらが美味しいということではなく、シャリとの相性を考え選択している。また酒肴と握りで使いわけたりする。

イクラは香りと旨みのエキスを閉じ込めた粒が口の中で溶ける瞬間がたまらない。イクラは毎年8月下旬から寿司屋に登場しますが、出始めはまだ粒が小さく、弾けるような食感もありません。11月になると皮が固くなるので、ベストと言えるのは9月の中旬から1ヶ月くらいです。実はかなり旬の短い寿司です。それなのに1年中食べられるのは、秋に作ったイクラを超低温冷蔵庫で冷凍したものを、必要に応じて解凍し提供するからです。店によっては、旬を味わう意味で、秋口限定にしているところもある。因みにイクラは漬け汁に漬けてあるので、食べる時は醤油をつけない。

【イクラの高騰について】
近年、北海道を中心にカラフトマスや秋鮭(シロザケ)の回帰率が大きく低下し、放流した稚魚が十分に母川へ戻らない状況が続いている。実際、北海道のサケ来遊数は2004年の約6000万尾をピークに減少傾向となり、2024年度は約1770万尾と1989年以降で3番目に少ない水準まで落ち込んだと報じられている。また、定置網で漁獲される秋鮭やサクラマスなども不漁が続き、農林水産省統計ではサケ類の漁獲量は20年前の2割程度の水準まで減少した。背景には海水温上昇など海洋環境の変化が指摘されている。こうした国内資源の減少により、イクラやマスコの価格は高騰しており、さらに日本が依存するロシア産冷凍卵も、円安や輸入量減少の影響で価格が大幅に上昇している。

【イクラの栄養と効能】
旬のイクラには、豊富な栄養素が含まれています。赤い色素のアスタキサンチンは強力な抗酸化作用を持ち、細胞の酸化ストレスを軽減することでアンチエイジングや生活習慣病リスクの低減に寄与するとされています。また、不飽和脂肪酸のDHA・EPAは、中性脂肪の低下や血液の流れの改善に役立ち、動脈硬化や高血圧などの予防に効果があるとされています。さらに、ビタミン類も豊富で、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、貧血予防に重要なビタミンB12が多く含まれるほか、ビタミンAや抗酸化作用を持つセレンも含まれ、健康維持に貢献します。イクラは高タンパクで良質なアミノ酸も豊富なため、栄養バランスに優れた食材です。

【イクラの仕込み方法】
イクラの仕込みはそれほど難しくありません。まず、生筋子を塩分約3%、水温約50度の湯につけ、卵巣の膜(薄皮)から卵の粒を離します。この時、筋子の端を持って、振るようにすると粒がハラハラと落ちて行きます。この時点で卵はやや白くなりますが、後で透明になりますので、気にしないでください。水も相当濁ります。余分な膜や筋が落ちるまで真水で何度か優しく洗い、水が綺麗になったら、ざるにあげて約30分間おき、自然乾燥させます。乾燥は、つゆをよく染み込ませるために、とても大切な工程です。その後、酒と醬油を同量で割ったつゆに漬け、冷蔵庫に一晩おいて味を染み込ませます。これで完成です。

【イクラの解凍方法】
-60℃の超低温が可能な冷凍庫に保管されているイクラを、-10℃程度の設定ができる業務用低温冷凍庫に移す。そしてしばらく置いてから冷蔵庫に入れておくと、解凍したイクラになる。

(2026年5月25日加筆)

主産地

北海道 岩手 青森

名産地

標津