【握り寿司: 魚卵】イクラとはロシア語で魚卵の意味だ。鮭の卵の皮が薄い時期に一つ一つばらして、醤油、みりんなどから作る漬けダシに寝かせて作る。一部の寿司店では、つけ汁に醤油を使わず、塩漬けとする。どちらが美味しいということではなく、シャリとの相性を考え選択している。また酒肴と握りで使いわけたりする。
香りと旨みのエキスを閉じ込めた粒が口の中で溶ける瞬間がたまらない。イクラは毎年8月下旬から寿司屋に登場しますが、出始めはまだ粒が小さく、弾けるような食感もありません。11月になると皮が固くなるので、ベストと言えるのは9月の中旬から1ヶ月くらいです。実はかなり旬の短い寿司です。それなのに1年中食べられるのは、秋に作ったイクラを超低温冷蔵庫で冷凍したものを、必要に応じて解凍し提供するからです。店によっては、旬を味わう意味で、秋口限定にしているところもある。因みにイクラは漬け汁に漬けてあるので、食べる時は醤油をつけない。
【イクラの仕込み方法】
イクラの仕込みはそれほど難しくありません。まず、生筋子を塩分約3%、水温約50度の湯につけ、卵巣の膜(薄皮)から卵の粒を離します。この時、筋子の端を持って、振るようにすると粒がハラハラと落ちて行きます。この時点で卵はやや白くなりますが、後で透明になりますので、気にしないでください。水も相当濁ります。余分な膜や筋が落ちるまで真水で何度か優しく洗い、水が綺麗になったら、ざるにあげて約30分間おき、自然乾燥させます。乾燥は、つゆをよく染み込ませるために、とても大切な工程です。その後、酒と醬油を同量で割ったつゆに漬け、冷蔵庫に一晩おいて味を染み込ませます。これで完成です。