白身(SHIROMI)

石鰈の握り
石鰈の握り

石鰈の握り

【握り寿司: 白身】
石鰈(イシガレイ)は、日本各地の沿岸、千島列島、サハリン、朝鮮半島、台湾に分布する。水深30~100mの砂泥地に生息し、全長は50cmに達する。体表には鱗が無く滑らかだが、目がある側の体側背部には大きく縦に並んだ骨質板があり、その他にも小さく並んだ骨質板がある。日本では、地域によって「イシモチ」「イシモチガレイ」「シロガレイ」などの呼び名があります。

イシガレイは、底引き網漁などで大量に獲れたので、安い鰈の代名詞のような存在だった。ところがイシガレイは江戸から明治時代にかけての東京で人気の魚で、魚河岸などで見られるカレイは全てイシガレイであったと言う。これは夏の白身魚は少なく、それ故貴重な存在であり、今でも夏が近づくにつれて、市場では鱸とともに値を上げる。ただ、戦後始まった東京湾の埋め立てや開発で住処を無くし、まったく獲れない、幻の魚になっていた時期もある。ちなみに東京では人気だが、北日本や関西ではメイタガレイのほうが好まれる。

イシガレイは、仕込の時、骨質板を素早く取り除き、鰈特有の泥臭さを感じさせないように仕上げることが重要である。鰈類の中で最も美味しいと評する人がいるほど、透明感のある上品な身は磯の香りが程よく、適度な歯ごたえで味が濃い。東京湾で獲れたものが珍重され、刺身、すしネタにして賞味されるが、煮つけや焼き物などにしても美味しい。

寿司ネタになるのは原則、活魚である。鰈類は死ぬとうま味成分が急激に減少するため、野締めや活締めもあまり評価されない。スーパーなどの売り場にお手頃価格でたくさん並ぶイシガレイは、寿司ネタや刺身に使えない。また鮮度が落ちると独特の臭みが出てくるので、素早くさばいて皮も取ってしまった方がいい。皮なしのサクでなら、少々寝かせてもおいしくいただける。

【イシガレイの基本データ】
分類:カレイ目カレイ科ヌマガレイ属
学名:Platichthys bicoloratus (Basilewsky,1855)
地方名:イシモチ、イシガレ(三重県鳥羽)、シロガレイ(富山県富山)、エシガレイ(富山県滑川)、カッタイビラ(茨城県水戸)、セエタ(青森県八戸)
名前の由来:他のカレイにある鱗がないかわりに、石状骨質板という石のように硬い骨の板を持つ。名前の由来もこの石状骨質板があることから命名された。

主産地

千葉 北海道