【握り寿司: 貝】赤貝という名前の通り、殻の中の身やヒモは、鮮やかな赤みのかかったオレンジ色だ。これは海産物には珍しく、体内にヘモグロビンを含む血液があるからだ。赤貝は北海道から九州で、内湾の水深10mほどの浅い砂泥底に潜って生息する。貝殻には42本前後の深い溝があり、剛毛で覆われている。
大振りで肉厚のあるものが上物。仕込み直前まで殻から外さず、生かしておくことが大切です。握る直前にまな板に叩きつけるのは、まだ生きている柔らかい身に硬い歯ごたえを出すため、締めている。また身に蝶を思わせるような飾り包丁を入れるのは、食べやすくするためでもあるが、すでに死んでいるものでは、切り口の身が盛り上がらず見栄えが悪いものになる。貝柱の付いたヒモも、味わいや歯応えがよく捨てがたく、こちらを好む人も多い。いずれも握る直前にさっと酢に通すことで、仕込みの後に出た臭みが取れる。一方、すきやばし次郎では、赤貝の風味を消さぬように、生のまま握っている。
昔は江戸前でもたくさん獲れ、千葉県検見川(けみがわ)産が最上とされ珍重された。つやのある鮮やかな色合いは鮮度の良さを物語る。口いっぱいに広がる潮の香りと歯ごたえの良さを楽しむネタだ。赤貝を噛んだときに感じられる旨みは、主に遊離アミノ酸と核酸系成分の味覚活性に起因します。日本食品標準成分表に基づく分析では、生の赤貝可食部100 gあたりの主要なアミノ酸として、グルタミン酸が約2100 mg、アスパラギン酸が約1300 mg含まれています。その他にグリシンやアラニンも含まれ、これらは単独では甘味やコクの要素として作用します。さらに赤貝にはイノシン酸などの核酸系旨味成分が微量含まれ、グルタミン酸との相乗効果により、噛むほどに広がる深い海の旨みを作り出しています。
ちなみに外観も身も赤貝に似ているサトウガイがいる。赤貝は内湾に棲息しているが、サトウガイは外洋に棲み、比較的殻が厚いという違いがある。そのため、豊洲市場ではサトウガイは「シロダマ」、赤貝は「ホンダマ」と区別して呼ばれる。
【アカガイの栄養と効能】
赤貝は高たんぱく・低脂肪の貝類で、100gあたりたんぱく質13.5gを含み、脂質はわずか0.3g、カロリーも70kcalと控えめです。良質なたんぱく質が豊富で、筋肉や内臓、皮膚の健康維持に適しています。ミネラルでは、鉄分5.0mgと豊富で、赤血球の形成や酸素運搬に関わる重要な栄養素です。また、亜鉛1.5mgも含み、酵素反応や免疫機能の維持に役立ちます。ビタミン類では、ビタミンB12 59.0μgと非常に多く、造血作用や神経機能の維持に欠かせません。加えて、ナイアシン(ビタミンB3)2.5mgも含まれ、エネルギー代謝をサポートします。さらに、貝類特有の成分であるタウリンも含み、脂質代謝や肝機能の維持に関与するとされています。
【アカガイの目利き】
当たり前だが、活きているものは触ると、殻をしっかり閉じる。殻が薄く、持ってみて重い感じがするものは良品である。むき身は色の濃いっもの、身が盛り上がっているものが新鮮である。
【アカガイの漁法】
貝桁網(底引網の一種)
【アカガイの基本データ】
分類:フネガイ目フネガイ科リュウキュウサルボウ属
学名:Scapharca broughtonii (Schrenck,1867)
地方名:ホンダマ(関東)、ホンアカ、アカダマ、バクダン、キサガイ(山形県)
由来:身肉が赤いことからついた。
(2026年1月19日加筆)