光り物(HIKARIMONO)

ししゃもの握り寿司の画像
柳葉魚の握り

柳葉魚の握り

【握り寿司: 光り物】ししゃも (本ししゃも)は北海道南東部の太平洋沿岸にだけ分布する日本固有種です。普段は沿岸海域で生息していますが、1歳半となる10月中旬から11月下旬の産卵期には、サケのように群れをなして故郷の河川をさかのぼります。この時季に河口部で「ししゃも漁」がおこなわれる。体長は13〜16cmです。本ししゃもはカラフトシシャモに比べて、鱗、口、目が大きく、一方、脂ビレが小さい特徴を持つ。

釧路地方では茶路川、庶路川、阿寒川、新釧路川に遡上します。釧路地方以外では胆振地方の鵡川、日高地方の沙流川、十勝地方の十勝川そして厚岸町の別寒辺牛川と尾幌分水川にも遡上します。かつて、渡島地方の遊楽部川と長万部川にも上っていましたが、現在は遡上していません。

ししゃもは以前はイワシの丸干し或いはそれ以下の扱いしかされていなかったが、卵を抱いている時の雌が酒の肴として人気が出て以来アッと言う間にスターになった。しかし実はししゃもの漁獲量は日本の消費量のわずか5%位に過ぎません。残りの95%はアイスランドやノルウェー、カナダから輸入されるカペリン (Mallotus villosus (Müller, 1776))やキュウリウオ (Osmerus dentex Steindachner & Kner, 1870)などの代用魚となります。

カペリンは北極海から寒帯海域にかけて広く分布し、オホーツク海でも見られます。また、淡水域には入りませんし、産卵期は地域によって異なります。日本のオホーツク海沿岸では晩春から夏に産卵します。漢字名では「樺太柳葉魚(カラフトシシャモ)」です。姿形はししゃもによく似ていますが、ウロコが非常に細かくほとんど無いように見える。ししゃものウロコは大きくはっきりしているので、見分けることは容易です。

カラフトシシャモは生干し冷凍製品として年間30,000トンほど輸入されています。スーパーなどでの商品名は主に「子持ちシシャモ」ですが、水産庁の魚介類名称のガイドラインは標準和名の「カラフトシシャモ」の使用が原則とされています。日本に食用加工品として輸入されているのはほとん
どが雌です。そのため子持ちシシャモと呼ばれています。

本ししゃもは豊洲市場にも入荷していますが、漁獲量が少ないこともあり高価である。10-11月の漁期には刺身や寿司ネタになる。とても鮮度の落ちやすい魚なので、この時期にしか食せない。鮮度の良さから、独特の風味は控えめになりがちです。だたし、旨味や脂が強い握り寿司となります。また本ししゃもは1300トンほどしか漁獲されておらず、とても居酒屋などに出回る量はありません。

【ししゃもの漁法】
底びき網 (かけまわし漁法)

【ししゃもの目利き】
子持ちししゃもの丸干しは尾数に惑わされてはいけません。大きくて腹がふっくらしていて、色、つやの良いもの。本ししゃもなら全体に飴色をしてふっくらしたもの、オスは背中が黒くないものがおすすめです。ししゃもと思って食べていた魚が実は別の魚だったという場合がほとんどです。本物のししゃもの場合は、小売店でもわざわざ「本ししゃも」と表示していることが多いです。

【ししゃものトレビア】
ししゃもを加工する時に、卵が溢れ出る。これを魚のすり身でつなげて加工したものが、シシャモのカズノコとなります。

【ししゃもの基本データ】
分類:キュウリウオ目キュウリウオ科シシャモ属
学名:Spirinchus lanceolatus (Hikita,1913)
地方名:シシュハモ(北海道)、スサモ(厚岸)
魚名の由来:アイヌの神によって柳の葉からつくられたという伝説に由来する。

(2025年5月31日加筆)

主産地

北海道

10月~11月