【握り寿司: 光り物】アカカマスは、沖縄を除く、南部地域の日本海沿岸から南シナ海に分布する。体長は40cmになる。細長い円筒形で、頭部は長く、鋭い歯を持っている。
市場に出ているものには、ヤマトカマスとアカカマスの2種類あり、すしネタでは味がいいアカカマスを使う。両者を区別せずにカマスと呼ぶ。
カマスは身に水分が多い魚だ。同じ時期に旬を迎える魚でも、サンマの水分量が60%程度なのに対しカマスは70%以上もある。そこで、カマスにひと塩して水分を抜く、火で炙るといった手間を加えて握りに使うすし職人が増えた。特に脂の乗る秋のカマスは美味で、淡い旨みが持ち味である。皮をとってもいいが、独特の風味がある皮を残し、焼き霜造りにしても味がいい。
【トレビア】
脂がのったものは、霜降りカマスと呼ばれる。現在では塩焼きやフライにして食べられているが、特に干物が美味しい。江戸時代でも干物を食していたようで、和漢三才図会には、「備前から多く干物として出荷されている」と記されている。
【カマスの目利き】
大きくて幅があり、ふっくらとしている。そして尾の方まで太いものは、脂のノリがいい。鮮魚は目がきれいで、よく澄んでいるいるものを選ぶこと。
【アカカマスの漁法】
定置網、刺網、敷網、釣りなど
【カマスの基本データ】
分類:スズキ目カマス科カマス属
学名:Sphyraena pinguis Günther,1874
地方名:シャクハチ(和歌山県、島根県)、ホンカマス(東京都)、オキカマス、大カマス/ツチカマス(高知県)、アラハダ、ドロカマス、ヤヨイ(紀州)、ナダカマス(有明海)、アカガマサー(沖縄県)
名前の由来:その大きな口が、わらむしろで作られた穀物などを入れる袋「叺(かます)」に似ていることに由来する。