光り物(HIKARIMONO)

キスの握り寿司の画像
鱚の握り

鱚の握り

【握り寿司: 光り物
日本周辺には、シロギス、アオギス、ホンギス、ヤエギスの4種が生息している。一般に「キス」といえばシロギスを指し、東京ではシラギスとか、マギスともいう。寿司ネタとしての歴史も古く、江戸前で獲れたキスを酢で締めて握りにしていた。

夏場のネタらしい、淡泊ながらも奥深い旨味を持つ味わいが持ち味である。その風味を生かすため、通常は背の薄皮を残し、酢締めまたは昆布締めにして仕込む。小ぶりな魚であるため、一匹からは片身づけで二貫、丸づけなら一貫ほどを取る。

軽く昆布締めにすることで旨味がふくらみ、シャリとの調和も素晴らしい。ただし、キスは小型で身が薄いため、昆布締めにする際は肉薄の昆布を用いる。厚い昆布を使うと身の水分を吸い過ぎてしまい、さらに昆布の香りが勝ち過ぎることもある。そのため、身側だけに昆布を当てる場合もある。

近年は皮を引き、生のまま握る店も増えている。昆布締めを施したものに比べ、より繊細で透明感のある味わいが際立ち、やわらかな甘みと澄んだ食感を楽しめる。また、淡い味を補うために、おぼろを忍ばせる手法もある。春頃から出回り始め、夏の「上ダネ」として寿司通に人気が高い。

オーストラリアからは近縁種のアメギスなども輸入されているが、やや体色が濃く、見た目の美しさではシロギスに及ばない。なお、かつて東京湾で盛んに行われていた「脚立釣り」の対象魚はアオギスである。現在では希少な存在だが、一般にはシロギスの方が味が良いとされる。因みに寿司屋では、シロギスではなく、キスと呼ぶ。

【シロギスの生態】
シロギスは北海道南部から沖縄を除く各地の砂浜海岸でごく普通に見られます。また朝鮮半島や黄海、東シナ海、台湾に分布している。通常は海底から10~15cm上方までの範囲にいる。体長10~25cmです。背側は淡黄褐色、腹側は白銀色です。体形は細長く、吻は長くやや尖っている。

【トレビア】
江戸時代の地誌「江戸名所図会」でも、武士や町人が中川で競ってキス釣りをする様子が記されており、古くから釣り人の間で、人気の魚だったことがうかがえる。

【キスの目利き】
体色の銀色模様がはっきり出ているもの、水晶体が澄んでいて、黒目がはっきりしているもの、腹に透明感があり、張りのあるものは、鮮度がいい。鮮度が落ちるとウロコがはがれる。シロギスは15cmくらいが最も旨い。

【キスの栄養と効能】
身肉のタンパク質を構成しているアミノ酸には、リジン、グルタミン酸が多いので甘味があります。仕込みをし、客に提供するまでの間に熟成すると鱚の旨さが生じ、それが酢の酸味とよく合う。白身魚の中でも脂質が少ないので、DHA31mg、EPA17㎎である。

【シロギスの漁法】
定置網、刺網(狩指網、こぎ刺網、流刺網、まき刺網)

【キスの基本データ】
分類:スズキ目キス科キス属
学名:Sillago japonica Temminck and Schlegel,1844
地方名:マギス、シラギス(東京)、キスゴ(四国、九州)、キツゴ(長崎県)、コズノ(播磨)、カハキ(摂津)、カワギス(鹿児島県)、キスコ(八郎潟)、アカ、アカギス(徳島県)
魚の名の由来:淡泊なことから混じりけのない意味の「生(き)」と飾り気のない意味の「直(す)」から「きす」となったとする説が有力です。

(2026年6月4日加筆)

主産地

福岡 大分 愛媛

名産地

東京湾 富津