【握り寿司: 魚卵】
ムラサキウニは、地域によっては古くから食用とされ、産地周辺では寿司や生ウニとして親しまれてきました。しかし、漁獲量や流通量が限られているため、全国的な寿司市場では、北海道などで多く流通するキタムラサキウニほど広く知られた存在ではありません。
また、ムラサキウニはアカウニとほぼ同じ海域に生息し、同じ漁場で水揚げされることもありますが、味わいは生息する場所や餌の種類によって大きく変化します。そのため、「ムラサキウニの味」を一括して表現することは難しく、産地ごとの個性を楽しむウニと言えます。
代表的な産地の一つが淡路島の由良です。由良港周辺で獲れるムラサキウニは、地方名で「黒ウニ」と呼ばれ、高く評価されています。身が黒みを帯びて見えるのは鮮度の問題ではなく、主に餌となる海藻の影響によるものと考えられています。旬は3月から6月頃で、濃厚な旨味を持つ希少なウニとして知られています。
また、熊本県天草でも、一般的な黄色い身のムラサキウニとは異なり、黒みがかった身を持つ「黒紫ウニ」と呼ばれるウニが水揚げされます。通常のムラサキウニより粒が大きく、味が濃厚であることが特徴です。こちらも鮮度低下による変色ではなく、餌となるカジメなどの海藻の影響によって色合いが変化すると考えられており、旬は3月から5月頃です。
ちなみに、ムラサキウニという名前は、殻が紫色を帯びていることに由来します。
【キタムラサキウニとムラサキウニの違いは?】
ムラサキウニによく似ているが、一回り大きいものがキタムラサキウニである。ムラサキウニは直径6cm前後で、キタムラサキウニは、直径10cm程度になる。ムラサキウニの生息域は、主に九州や中国地方などの暖かい海域で、キタムラサキウニは、主に北海道や東北地方などの冷たい海域になる。一般的に市場で出回っているムラサキウニと言えば、キタムラサキウニを指すことが多い。
【ムラサキウニの生態】
ムラサキウニは、本州から九州にかけての沿岸域に広く分布する暖海性のウニです。太平洋側では茨城県大洗付近、日本海側では青森県深浦付近が分布の北限とされています。基本的には水温の高い海域を好み、岩礁域や転石帯などに生息しています。
生息水深は地域によって異なりますが、主に潮間帯から水深20m程度までの比較的浅い海に見られます。岩の隙間や石の下などに身を隠しながら生活し、主にコンブ類やホンダワラ類などの海藻を食べる植食性の生物です。
殻径はおよそ5〜7cmほどで、殻はやや扁平な形をしています。棘は比較的短く、紫色を帯びた黒褐色をしていることが特徴です。近縁のキタムラサキウニと比べると、殻がやや小さく、棘が短い傾向があります。
近年では、海水温の上昇などの影響により、ムラサキウニの分布域が徐々に北へ広がる傾向が指摘されています。秋田県の男鹿半島では、本来はキタムラサキウニが優勢であった海域において、ムラサキウニの漁獲量がキタムラサキウニを上回る「逆転現象」も見られています。この背景には、海水温の変化に加え、海藻群落の変化や生息環境の変化など、複数の要因が関係していると考えられています。
【ムラサキウニの基本データ】
分類:ホンウニ目ナガウニ科ムラサキウニ属
学名:Heliocidaris crassispina (A. Agassiz, 1864)
地方名:クロウニ
【関連記事】
List of sea urchin producers in Japan
(2026年6月26日加筆)