【握り寿司: 貝】貝の正式名称は、「ウバガイ」だが、市場では「北寄貝」の名で通っている。貝の成長は遅く、市場に出回る7~8cmサイズになるのに、3~10年も掛ると言う。寿命は長く、30年以上も生きる。東北地方以北の砂地に生息する。北海道沿岸から千葉県の銚子沿岸にかけて分布している。
もともとは、江戸前寿司のネタとしては使われていませんでした。東京のすし屋が使うようになったのは、東京湾のすしネタが少なくなってからのことで、比較的最近です。東北や北海道では東京で使うようになる前から使っていました。東北や北海道では定番のネタと言える。肉厚で食べ応えがあり、歯ざわりはシャキシャキしているので、人気が出ている。名産地である苫小牧では漁獲する貝の大きさを横幅9cm以上のものに限定することで、資源の確保に取り組んでいます。
すしネタにするのは足の部分。軽く湯に通すと身の先端の黒っぽい色が淡い紫色に変わり、甘みが増す。又は少し炙って提供される。すし職人たちは軽く火を通すことで甘味や旨味が際立つという感覚を広く共有しているからだ。
よく比較されるのが赤貝だ。その香りではかなわないが、甘みと旨みは北寄貝のほうが強い。北寄貝には極上の黒北寄貝(棲息地の蹉跌を多く含む底質によって、殻の色に違いが生じる)と安価な茶北寄貝があり、もちろん寿司屋で使われるのは、黒北寄貝の方だ。その大きく真っ黒な貝の中には肉厚の身が詰まっている。
北寄貝の旨みは、可食部100gあたりに含まれる 遊離アミノ酸 のバランスによって生まれます。旨味の主役である グルタミン酸 は約 1,400 mg 含まれており、塩味と調和する アスパラギン酸 も約 960 mg 含まれています。また、甘味やコクに寄与する グリシン(約790 mg) や アラニン(約610 mg) も存在し、全体の旨みを豊かにしています。これらのアミノ酸は、噛むほどにうま味が口中に広がる要因です。
さらに、北寄貝には タウリン(遊離アミノ酸類ではありませんが旨みのコク形成に影響)も多く含まれ、風味の深みと健康価値の両方に寄与します。核酸系の イノシン酸 も微量含まれており、グルタミン酸との相乗効果でより強い旨みを感じさせます。これらの複合的な成分が、北寄貝ならではの“海の旨み”を作り出しています。
ちなみに回転寿司などでは、安価な近似種のナガウバガイ(通称はカナダホッキ)を使っている。その多くはカナダや北アメリカより茹でた物が冷凍流通しているので、本家の北寄貝と比べ味はイマイチだ。ただ足の部分の赤みが鮮やかで、見た目がとても綺麗なので、外食産業で重宝されている。
【ホッキガイの栄養成分】
ホッキガイは、100gあたりたんぱく質11.1g、脂質1.1g、炭水化物3.8gを含みます。ビタミン類では、ビタミンB12 48.0μg、ナイアシン(ビタミンB3)1.9mg、ビタミンB2 0.16mg、ビタミンA(レチノール当量)7μg、ビタミンC 2mgを含みます。ミネラル類では、鉄4.4mg、マグネシウム75mg、カルシウム62mg、リン160mg、カリウム260mg、ナトリウム250mgと、豊富な含有量を誇ります。
【ホッキガイの目利き】
触ると殻を固く閉じるものが、新鮮な証拠です。足の紫色の濃いもの、肉質がふっくらしているのがよい。また身が大きめのほうが旨い。
【ホッキガイの仕込みのポイント】
茶褐色の殻皮を分泌する外套膜を取り除くことと、砂を噛んでいるときがあるので、よく水あらいして取り除くことです。
【ホッキガイの色素】
最新の研究で分かっている範囲では、ポルフィリン系色素(ウロポルフィリンなど)が、紫〜赤の発色へ関わるが有力候補です。ただし、ホッキガイの色素はまだ学術的に確定していません。2016年に書かれた共立女子大学家政学部の論文では、ホッキガイの色素は抽出できなかったとあります。
【ホッキガイの漁法】 噴流式ケタ曳網
【ホッキガイの基本データ】
分類:マルスダレガイ貝バカガイ科ウバガイ属
学名:Pseudocardium sachalinense (Schrenck, 1862)
地方名:ドンブリガイ
由来:アイヌ語の「ポッキセイ」が由来である。
(2026年1月19日加筆)