その他

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しいたけの握り

しいたけの握り

【握り寿司: その他】
生椎茸を軽く炙ってから、酒と醤油を合わせたタレに漬け、さらにもう一度炙ります。握る際には椎茸の裏側を見せ、仕上げに柚子ジュースを数滴。豊かな旨味と香ばしさが酢飯と見事に一体となり、噛むほどに椎茸のエキスがじゅわっと口の中に広がります。魚介が手に入りにくい土地で、その代替として椎茸を使う野菜寿司とは一線を画し、椎茸そのものの風味を生かした、印象的な握り寿司です。

この椎茸の握りは、銀座「寿司幸本店」の二代目・杉山宗吉氏が約90年前に考案したとされます。その味を受け継いだ弟子たちは、師への敬意を込めて、現在も椎茸の握りを握り続けています。神楽坂の「寿司幸(閉店)」や岡山の「松寿司」などで供されているのも、その系譜の一例です。

一方、近年登場した新しい世代の職人たちは、椎茸の焦げ茶色の表側を見せるように握ることが多いようです。もちろん、握りの表裏は見た目の印象を左右するものですが、椎茸は何よりも、噛みしめたときに豊かな旨味や香りが口の中に広がる食材です。そう考えると、表側を見せるか裏側を見せるかという違いは、味わいそのものよりも、見た目の表現の違いと捉えることもできるでしょう。

そもそも、椎茸と酢飯の相性の良さは、この握りに限ったものではありません。甘辛く煮含めた干し椎茸は、ちらし寿司や太巻き、巻き寿司などにも古くから使われてきました。魚介類とは異なる、椎茸ならではの濃厚な旨味と香りが酢飯によく調和するからこそ、椎茸は寿司の具材として長く親しまれてきたのでしょう。

【干し椎茸の栄養成分】
干し椎茸は、食物繊維を豊富に含むほか、ビタミンDやビタミンB群などを含む栄養価の高い食品です。乾しいたけの可食部100g当たりには、食物繊維が46.7g、ビタミンDが17μg含まれています。椎茸に含まれるビタミンDは主にビタミンD2(エルゴカルシフェロール)で、カルシウムの吸収を助けるなど、骨の健康に関わる重要な栄養素です。

椎茸にはエルゴステロールという成分が含まれており、紫外線を浴びることでビタミンD2に変化します。このため、日光に当てて乾燥させた椎茸は、ビタミンD2の供給源となります。

また、椎茸特有の成分として知られるエリタデニンは、脂質代謝や血中コレステロール値との関係が研究されています。さらに、β-グルカンの一種であるレンチナンも含まれ、免疫機能との関係について研究されています。ただし、これらについては食品として摂取した場合の健康効果を直接示す研究は限られているため、特定の効果を期待するというより、椎茸に特徴的な成分として捉えるのが適切です。

【椎茸の特徴】
椎茸は、傘の開き方や肉厚によって特徴が異なります。傘が開ききる前で肉厚なものは「冬菇(どんこ)」、傘が大きく開いて肉薄になったものは「香信(こうしん)」と呼ばれ、その中間にあたるものが「香菇(こうこ)」です。一般に冬菇は肉厚で歯応えがあり、香信は薄くて味が含みやすいという特徴があります。

椎茸は生のままでも独特の香りと旨味がありますが、乾燥させることで、その味と香りが大きく変化します。乾燥・加熱・水戻しの過程で旨味成分のグアニル酸が生成されるほか、干し椎茸特有の香りに関わるレンチオニンなどの香気成分が生じます。そのため、干し椎茸は旨味と香りが豊かで、出汁としても優れた食材です。

また、椎茸には原木栽培と菌床栽培があります。原木栽培は、クヌギやコナラなどの原木に椎茸菌を植え付けて育てる方法で、時間をかけて成長するため、肉質や香りに特徴があります。一方、菌床栽培は、おが粉などを固めた培地で栽培する方法で、安定した品質と生産量を確保しやすいのが特徴です。

天城山麓で自然木栽培された生椎茸は、肉厚で旨味が濃く、一度食べたら忘れられない味わいです。
生しいたけの主な産地: 徳島、岩手、群馬
干し(乾)しいたけの主な産地: 大分、宮崎、熊本

(2026年8月17日加筆)

主産地

大分 (乾) 徳島 (生)

春・秋