【握り寿司: エビ・カニ】ズワイガニは、日本海から北海道、オホーツク海、アラスカまで分布している。水深40~600mの泥底に生息し、漁場の水深は180~360mで、特に200mの等深線に沿った水温1~3℃の海底に暮らす。漁期は11月から翌年3月まで。オスは甲羅の幅が約15cm、メスは7~8cmです。地方によって呼び名が異なり、オスは松葉ガニや越前ガニ、メスはセイコガニやコウバコガニという。
元来、江戸前の寿司ダネではないため、かたくなに握らない老舗も多い。すしに使われるのは雄の足の部分。肉質はしなやかで歯切れよく、カニが持つ独特の甘みが溢れだす。一方、雌は身以外の内子や外子を味わうことができる。外子はプチプチとした食感が面白く、内子は濃厚な味わいが楽しめる。
近年ロシアやカナダからの輸入量が増加している。回転寿司などでは、見た面がよく似たベニズワイガニが代用されることがある。ベニズワイガニの方が若干甘みは強いが、身質が何せ水っぽいので、すしネタとしては向かない。
蟹好きな日本人の旺盛な食欲は日本で獲れるズワイガニだけでは満たされることがない。そこでロシア、カナダ東海岸、アラスカなどから大量のズワイガニが輸入されている。大産地の一つであるアラスカ州は資源保護のための徹底した漁業規制で知られる。サイズ規制があり、小型は放流することになっている。そのためアラスカ産は概して大きくて身が詰まっているとの評価である。そして日本で珍重される雌ガニを捕獲しても、資源保護のため放流する決まりになっている。
そしてとても衝撃なトピックだが、アラスカ州沖のベーリング海で行われていたズワイガニ漁が、2022年初めて中止になった。中止の理由は、アラスカ州漁業狩猟局によると、ズワイガニの個体数は2018年の約80億匹から、2021年には約10億匹へと激減したからだ。
因みに甲羅に付着している黒い粒は、カニビルが産みつけた卵です。カニビルとは、名前の通りヒルの一種で、魚に付着して体液を吸う。カニについているのは、カニの体液を吸うためではなく、岩場の代わりに甲羅を卵の産卵場所として選んでいるだけです。カニビル自体は茹でたり、冷凍したりすれば死んでしまう。そしてカニビルの卵が多いというのは、脱皮してからの時間が長いため、カニが美味しい証と言われる。
【ズワイガニの目利き】
爪や脚が揃っていて、持った時重いのがよい。
【ズワイガニの漁法】
底曳網、ズワイかご漁など
【ズワイガニの基本データ】
分類:十脚目ケセンガニ科ズワイガニ属
学名:Chionoecetes opilio (O. Fabricius,1788)
地方名:マツバガニ/コウバガニ(雌)(鳥取)、エチゼンガニ(福井県、石川県)、ヨシガニ、セイコ、アカコ、クロコ、ゼンマル、フタヨガニ、ワタガニ、モサガニ、セイコガニ(雌)、タラバガニ(山形県)、
由来:「ずわい」は、細くまっすぐな小枝を表す「楚(すわえ)」が変化したとされる。