白身(SHIROMI)

金目鯛の握り寿司の画像
金目鯛の握り

金目鯛の握り

【握り寿司: 白身】
金目鯛は「鯛」という名を持つが、真鯛とはまったく異なる深海魚である。かつては水分が多く扱いの難しい魚とされていたが、漁獲後の丁寧な処理と江戸前の仕事によって評価が高まり、現在では高級魚として広く認識されている。

キンメダイは脂の質に注目すると、白身魚の中でも豊かな脂を持つ部類に入る。ただし、握りにおいて重要なのは脂の量そのものではなく、その質と全体のバランスである。脂が強すぎると重さやしつこさにつながるため、そのまま握るのではなく、仕込みによって状態を整えることが前提となる。昆布締めで旨味を引き出す、軽く炙る焼霜造りで香りと輪郭を与える、皮霜造りで皮目の食感を整える、あるいはヅケにして味をなじませるといった仕事は、脂を減らすためではなく、魚全体を握りに適した状態へと導くための工程である。

脂の質に注目すると、「トロキンメ」と呼ばれるものは、主に伊豆半島周辺などで水揚げされる大型のキンメダイの中でも、特に脂のりが良い個体を指す呼称である。深い海域で時間をかけて成長した個体ほど身に脂を蓄え、その脂は重さではなく、やわらかな甘みとして感じられるのが特徴である。刺身や握りにすると、口の中でほどけるような食感とともに、上品なコクが広がり、白身魚でありながら長い余韻を残す。

キンメダイの握りは、やや温度高めのシャリと合わせることで脂と旨味がより自然に立ち上がる。また、赤酢のようにコクのある酢飯とも相性が良い。そのため、軽やかな米酢を主体とする寿司店では、目指す味の方向性の違いから、積極的に扱わない場合もある。

【キンメダイの生態】
鮮やかに紅色の体に、大きな金色の目が特徴だ。水深200m以上の深い海に生息するため、漁業技術が未発達だった頃には、ほとんど獲れなかった。脂の旨みが魅力で、20年前ぐらいから人気ネタに仲間入りした。体長は3年で30cm、最大で60cmほどに成長し、寿命も10年以上と長い。近頃、最も出世した魚と言える。かつてはアジや秋刀魚、イサキ、メヒカリなどと並ぶ下魚で、日本料理店では使わなかった。

インド洋沿岸(東アフリカ周辺やモーリシャス、マダガスカル近海など)や、インドネシア・スリランカ周辺の海域、さらに南西太平洋のニュージーランドやオーストラリア周辺でもキンメダイは漁獲され、日本へ輸入されています。これらの多くは冷凍フィレや加工原料として流通します。一方、南西太平洋産のものは脂の質が比較的安定しているとされ、外食産業や一部の寿司店において寿司ネタとしても用いられています。

【キンメダイの調理のポイント】
刺身、焼物、煮つけ、揚げ物、干物など一通りの和食はもちろん、しゃぶしゃぶや炊き込みご飯、フライや中華料理など何にでも使える。それに加えて頭や中骨、カマは焼物に、ヒレは出汁が出るのでヒレ酒や湯注ぎになど、ほとんど捨てることなくいろいろな料理にできる。三枚におろす時は、頭を落とすより内臓を取り出し、それから頭をはずして身をおろす。頭は焼物や出汁と取るために使うが、身をつけるようにおろす必要はない。内臓は甘辛く煮付けたり、塩辛にしたり、茹でてポン酢で食べるのも美味しい。

【キンメダイの目利き】
海を泳いでいる時は体色は淡い赤だが、死んでから鮮やかな紅色に変わる。ただ、鮮度が落ちてくると紅色がさめてくる。そして目が澄んでいて、金色に輝いていれば新鮮な証拠である。目が金色に輝くのは、網膜にタペータムと呼ばれるグアニンなどからなる光の反射層を持っているためである。成魚は50cmくらいまで成長するが、最も美味しいのは30cmぐらいのものである。

【キンメダイの漁法】
一本釣り、延縄、曳き縄など

【キンメダイの基本データ】
分類:キンメダイ目キンメダイ科キンメダイ属
学名:Beryx splendens Lowe,1834
地方名:キンメ(関東)、マキン、カゲキヨ、ギメンダイ、ギンメダイ、カゲキヨ(尾鷲)、アカギ(神奈川県三浦)、マキンメ(神奈川県小田原)、アカギギ(和歌山県)、カタジラア(沖縄県)、アコウダイ(新潟県)、ギンメ/オチョコアゴナシ(富山県)、シウジウダイ(福井県敦賀)、デンデン(静岡県沼津)、マイマイ、アオダイショウ(高知)
魚名の由来:形が鯛に似ており、そして黄金色に光る大きな目を持っていることに由来する。

(2026年5月19日加筆)

主産地

千葉 神奈川 和歌山 静岡

名産地

勝浦 銚子(外川漁港)