白身(SHIROMI)

真鯛の握り寿司の画像
真鯛の握り

真鯛の握り

【握り寿司: 白身】日本産魚類は現在約3900種が知られていますが、その内なんと約360種の標準和名は「○○鯛)」です。ところが本家と言うべきタイ科魚類は、マダイ、チダイ、キダイの他に、黒鯛などわずか13種に過ぎません。馴染みがある石鯛、金目鯛、エボダイなどは、タイ科とは縁のない魚となります。

鯛は、姿・形が美しく、日本では古来より祝いの席に欠かせない魚だ。淡泊でくせのない上品な身は、噛めば押し返してくる弾力と強烈な旨味が押し寄せる。まさに白身の王様だ。その脂質含量は季節によって、または成長段階によって違うが、おおよそ2.5~5.8%である(養殖マダイでは脂質含量は10%以上あり、くどく感じる)。

タイの握りの楽しみ方は大きく二つ。皮を引いて奥深い甘みのある白身本来の味を楽しむ。そして皮を付けたまま湯引く松皮づくりだ。タイの皮、皮下の脂肪、白身と、丸ごと味わうことができる。鯛の食べごろは産卵期の冬~春にかけてですが、特に瀬戸内海では産卵のために沿岸を回遊してくる真鯛は、「桜鯛」といい、特別に美味しいので、珍重されている。一方、産卵後の味が落ちるものは、「麦藁鯛」と呼ぶ。

鯛は活け締めにしてから1日ほど氷蔵し、熟成させたものが旨みも多くなっている。養殖の鯛は水揚げしたら「活き造り」にした方が、養殖物特有の臭みを感じないで食べることができる。つまり熟成を必要とするすしネタには、養殖の鯛は不向きであると言われる。

一般に関東の寿司屋では白身のネタとして、鯛を用意しておくところが多く、客が「白身を握ってください」と注文すれば、鯛、鮃、鰈のいずれかを握ると思っていい。しかし、東京では瀬戸内で獲れた鯛ほど、美味しい鯛を仕入れるのが難しいという理由で、鯛の寿司は握らないという寿司屋もある。その一つがかの有名なすきやばし次郎である。実は明石港などでは活け越し活け締めなどの処理技術が優れており、それが瀬戸内で良質な真鯛があがると評価されている原因の一つと考えられる。

【マダイの目利き】
目の上が青紫色に輝いているものほど鮮度がいい。天然物は口や歯がいかつい感じである。また尾ひれが大きく、立派なのが特徴です。俗に「目の下一尺(約30cm)」や「尺鯛」というが、重量で2kg前後が美味しく、小さくなるほど味が薄い。

養殖の真鯛を見分けるには、まず尾を見ればよい。天然物は尾の切れ込みが大きく、養殖物は小さい。また天然物は鼻の穴が4つあるが、養殖物は2つしかない。以前であれば養殖物は浅いところで育てられるので、日焼けして黒っぽいとか、かつて言われましたが、最近は技術が進歩してそんな養殖物はない。それと目の下にアイラインを引いたような紫色も、養殖物でも入っているものもあるので、見分けが難しくなっている。

【ブランド養殖真鯛】
高知県須崎市浦ノ内湾:海援鯛
愛媛県宇和島:愛鯛
和歌山県串本町:梅マダイ

【マダイの漁法】
一本釣り、延縄、刺網、定置網、底曳網、吾智網、敷網、追込網など

【マダイの基本データ】
分類:スズキ目タイ科マダイ属
学名:Pagrus major (Temminck and Schlegel,1843)
地方名:ホンダイ(関西、愛知県、広島県)、メヌケダイ(長崎県)、オオダイ、ホンタイ、タイノユウ(鹿児島県奄美)、マコダイ(鹿児島で幼魚を指す)、タイチャリコ(幼魚:大阪)、ネブドコ/メダ(幼魚:富山湾)、ベン(東京都)、チャリコ(大阪府堺)、イラサ、コダイゴ(福岡県)、東京では若魚から順にマコ、チュウダイ、オオダイ、トクオオダイと呼ぶ。
魚名の由来:他の魚に比べ、薄い体であることから「平ら(たいら)」の「たい」が由来である。真鯛の「真」は文字通り、「代表的な」と言う意味です。

主産地

瀬戸内海 長崎 熊本 鹿児島

名産地

明石 加太 佐島 

冬~早春