【握り寿司: 白身】縞鯵(シマアジ)は、日本の関東以南からインド洋まで分布している。岸近くから水深200mまでの中下層に見られる。背側は青く、腹側は銀白色の体色です。伊豆諸島などの島周辺に多く生息しているので、島鯵と呼ばれるようになった。又は若魚の体側中央に黄色の縦縞があることから、縞鯵となった。
縞鯵は外洋性で幼魚の時は表層の流れ藻の中に棲んでいるが、成魚になると、水深100m位の所に生息するようになる。春から夏にかけて北上し、秋から冬にかけて南下する南北回遊を行う。群れで遊泳し、小魚やイカ、エビなどを食べる。アジ科の魚の中で最も美味であり、夏のすしネタや刺身に欠かせない高級魚だ。
夏の時期の天然の縞鯵は淡く上質な脂がのっていて、歯ごたえも素晴らしい。肉質はくせのない淡泊なアジの仲間と言うより、しっとりとした旨みと甘みがあるブリの仲間に近い。見た目も味も清涼感溢れた夏らしい一品だ。大きなもので1m、体重10kgになり、この大きさになると別名「オオカミ」と呼ばれている。ただし大きさは1~2kg前後が美味しいとされる。一匹1~2万円の値がつくことがある。
残念ながら市場に出回る99%が養殖物(大分産や愛媛産など)である。高級店以外の東京のすし店で、天然物として出されるシマアジも蓄養物が多いはずです。一方、回転寿司などで縞鯵として出されているものの多くは、ニュージーランドから空輸された天然物だが、縞鯵の亜種(ギンガメアジ、カスミアジ、オニヒラアジ、コガネシマアジ、ロウニンアジなど)である。それらはシマアジに比べると脂がなく、味わいに欠ける。
【シマアジをおろすときのポイント】
三枚おろしが基本で、骨組みが鯛に似ているため、鯛の三枚おろしに準じておろす。骨はけっこう硬く、ゼイゴはあるがそれほど神経質にならなくてよい。刺身にする部分を最優性しておろすので、頭や中骨は身を残さずにぎりぎりのところで外す。煮る調理に向かない魚だが、中骨やすだれ骨のアラは塩を振って臭いを抜き、いったん焼いて揚げれば食べることができる。エラも同様である。内臓は甘辛く煮ても美味しい。カマは塩焼きや椀物がオススメである。
【トレビア】
鯵類でもっとも美味とされ、高級魚として料亭などで扱われることが多いが、江戸時代の料理書「黒白精味集」では、コイや鰹よりも評価が低い下魚に格付けされている。
【シマアジの目利き】
背の青色と体側の黄色の帯が鮮やかなものが新鮮な証拠だ。アジ科の魚の特徴である尾びれ手前のゼイゴは、マアジの半分くらしかない。
【シマアジの漁法】
釣り、定置網、刺網など
【シマアジの基本データ】
分類:スズキ目アジ科シマアジ族
学名:Pseudocaranx dentex(Bloch and Schneider,1801)
地方名:オオカミ(老成魚:東京都)、カツオアジ/カツン(鹿児島県)、カマジ(鹿児島県奄美大島)、コセ(和歌山県)、コセアジ(高知県)、ソイ/ソジ(和歌山県)、ヒラアジ(熊本県)、ソウジ(沖縄県)、シマイサギ、アブラカマジ(奄美)、オーガシ
魚名の由来:体側に縦縞があることから、縞鯵となった。伊豆諸島などの島部で多く獲れることから、島鯵となったなど。