【握り寿司: 貝】すしネタに使うには、帆立貝の貝柱の部分です。噴火湾や陸奥湾で行われる耳吊り養殖と、オホーツク沿岸の天然物に大別される。白く綺麗な天然物に比べると、養殖物は貝殻に付着物が多く、茶色系である。天然物は冷たい北の海でも揉まれ、強烈な甘みと柔らかな食感が特徴だ。貝柱の厚みが増し、甘みのピークを迎える初夏が食べどきだ。
帆立貝の貝柱の甘みは主としてグリシンの含有量が多いからである。また、コハク酸の含有量も多く、アサリの10倍もある。このことは旨みにコクがあることと関係している。またタンパク質量は約17%もある。アワビとほぼ同じくらいの含有量である。これは噛めば噛むほど、旨みが出ることを意味している。
ホタテガイは大粒の物ほど美味しい。握り寿司には厚みのある身を半分に開いて使う。江戸前寿司では、醤油、みりん、砂糖でさっと煮上げたものを切り分けたり、軽くつぶして握るものもある。これは生で食べると甘みを強く感じるが、火を通すと甘みだけではなく、旨みの強さも感じるからだ。そして寿司飯と馴染むので、一層味わいが増す。
【ホタテガイの主産地とその時期】
猿払・宗谷・枝幸・紋別・湧別・常呂/6~11月
野付/12~5月
噴火湾/11~3月
陸奥湾/5~8月
大船渡・陸前高田/6~10月
気仙沼・志津川・女川・石巻/6~10月
【ホタテガイの目利き】
新鮮なものは、殻に触れると力強く口を閉じる。活きのよい貝柱は、透明感があり、盛り上がっている。ちなみに、市場では殻付きホタテを「カラホ」、むき身のホタテを「ムキホ」と呼ぶ。死んだ殻付きを選ぶより、生で産地で冷凍したものの方がオススメである。
【ホタテガイの基本データ】
・分類:イタヤガイ目イタヤガイ科
・学名:Mizuhopecten yessoensis (Jay,1857)
・地方名:アキタガイ、オオギガイ、ウミオオギ、イタラガイ
・名前の由来:片方の殻を船にし、もう片方を帆のように立てて、泳ぐと信じられていたことから付いた。