【握り寿司: イカ・タコ】墨烏賊(スミイカ)は関東以西、東シナ海や南シナ海の砂泥の底近くに生息する。その名の由来は大量に墨を吐くことからきている。正式名称はコウイカだが、スミイカの方が通りがいい。胴長は16cmになる。産卵期は2~4月で、内湾に集まり、海藻などに卵を産み付ける。寿命は1年。
イカは貝から進化した生き物だ。コウイカ類は貝殻の名残り「甲羅状の骨」を体の中に持っているので、コウイカという。コウイカの他、カミナリイカ、シリヤケイカなど、舟状の甲を持つ烏賊を総称してコウイカと呼ぶことも多い。また市場ではハリイカと呼ばれることもあるが、これは同属異種のやや小型の烏賊のことで、韓国産のものが多く流通している。
烏賊の仲間で最も身がやわらかく、歯切れがよく、その上真っ白で美しい。ただ、ネットリ感はなく、甘みは薄いが旨みがある。江戸前寿司では、ネットリ感は敵との考えがあり、墨烏賊は多くの寿司店で使われている訳です。その握りは、スダチをきかせて、塩で頂けば、濃厚な甘みが口の中に広がる一品だ。すし職人によっては、シャリとネタの間に、海苔や大葉を挟んで提供する場合がある。また肉厚なのに歯切れがよいので、隠し包丁などは入れずに握る。
スミイカは、良質なタンパク質に富む。タウリン、プロリンなどのアミノ酸を多く含み、旨みを構成する。ただし、グリシンは含まれないので、甘味は薄い。プロリンは、醤油に含まれるアミノ酸によってさらに味が引き立つ。
またたんぱく質は非常に消化吸収が良く、けがの回復期にある患者などにも勧められる。またコレステロールを排泄する胆汁酸の分泌、肝臓の解毒作用を促進するとされるタウリンを豊富に含有する。イカスミには防腐効果がある。
【スミイカの漁法】
定置網、底曳網、いか籠、釣りなど
【スミイカの基本データ】
分類:コウイカ目コウイカ科コウイカ属
学名:Sepia (Platysepia) esculenta Hoyle,1885
地方名:ハリイカ、マイカ、ホンイカ、カブトイカ、スミイカ
由来:捕まえた時に、大量に墨を吐くことから、その名が付いた。
(2025年5月17日加筆)