白身(SHIROMI)

トラフグの握り寿司の画像
虎河豚の握り

虎河豚の握り

【握り寿司: 白身
虎のような模様があるトラフグは日本で食用と認められているフグの仲間で最も美味とされ、かつ値段も圧倒的に高い。フグの身は脂質含量がわずか0.3%と非常に少ないので、あっさりとした旨みと上品な後味が特徴だ。活け締めして、すぐのものは身が固く(体側筋にはコラーゲンが多く、その含有量はマイワシの3倍もある)、そのため熟成期間をとり、旨みが増したところで供する。薄造りで仕立てた握り寿司は、噛み締めるごとに、旨みが広がる一品だ。

代表的な食べ方は薄造りの刺身「ふぐ刺し」であり、ポン酢ともみじおろしを合わせて味わうのが一般的である。一方で握り寿司として提供される場合は、塩や柑橘(すだち・かぼすなど)をわずかに用いる程度の控えめな味付けで仕上げられることが多い。また店によっては少量の自家製ポン酢を用い、素材そのものの旨味を引き立てる構成とする場合もある。

旬は冬であり、特に天然物が最も美味とされる。ただし養殖物も流通しており、年間を通して市場に出回るようになっている。

ちなみにフグは卵巣、肝臓、腸に猛毒を持つため、フグ調理の免許持った調理人と設備がないと調理できない。東京都では2012年にフグの取り扱い規制が緩和され、フグの有毒な部位を取り除いた身を扱えるようになった。まだ一部ではあるが、フグの握り寿司を提供する寿司店が出てきたばかりだ。

【トラフグの生態】
トラフグは日本列島沿岸を中心に、朝鮮半島沿岸や東シナ海など北西太平洋の温帯海域に分布している。主に沿岸からやや沖合の水深10〜50m前後の砂泥底や砂礫底、内湾や海峡域に生息する底生魚であり、海底付近を中心に単独または小規模な群れで行動する。体色は背側が暗い緑褐色から黒色、腹側は白色で、体側には不規則な黒い斑点があり、胸びれ付近には特徴的な黒色斑(大黒紋)が見られる。トラフグの成魚の大きさは、一般的には全長約40〜60cm程度であり、より大型の個体では70〜80cm前後に達することもある。

食性は肉食性で、貝類や甲殻類、多毛類などの底生生物を捕食する。産卵期は春から初夏(おおむね4〜6月)で、沿岸の水深10〜50m程度の浅場へ移動して砂泥底に産卵する習性をもつ。

【フグ毒とは?】
フグの毒は多くの場合、肉以外の肝臓、卵巣、胃、腸、皮、眼などに含まれている。これらの部分が無毒なフグもいるが、日本近海にいるフグはほとんど毒をもっている。調理を失敗して肝臓や卵巣の毒が身肉についてしまうと、直ちに死に至ることになる。そのためフグ調理師の免許を持っている専門家のいる店で食べることが原則になっている。フグによる中毒のほとんどが素人による料理によるところが多いからだ。

フグの毒素はテトロドトキシン (tetrodotoxin)という化学物質だから、鍋や唐揚げのように加熱しても無毒化されない。私たちが非常に美味しいと評価する虎河豚(食べている部分は、身肉、皮、精巣)も肝臓と卵巣、腸に毒素がある。毒性は青酸カリの1000倍以上とも言われる。虎河豚の一尾の臓物で、10人の人が死ぬと言う。フグ中毒を起こす場合、フグを食べてから20分~3時間で、最初の中毒症状が現れる。口唇、舌端、指先のしびれが始まります。頭痛、腹痛などを伴い、激しい嘔吐が続くこともあります。歩行は千鳥足となります。まもなく、知覚マヒ、言語障害、呼吸困難となり、血圧が下降します。その後、全身が完全な運動マヒになり、指さえ動かすことができなくなります。やがて意識が混濁し、まもなく呼吸・心臓が停止し、死に至ります。中毒症状を起こし、気がつかなかったら命を落とすことは間違いない。

フグの毒素の強さは季節によっても違う。個体によって毒素を持っている物もいれば、持っていないものもいる。その判別は外観からはできないから、毒素を持っている確率の高い臓物や眼は食べないに越したことはない。

フグはすでに養殖に成功し、市場に出回っている。この養殖フグには毒素がみつからない。養殖物には毒素がないとなると、天然物の毒素の生成の原因は何かと疑問を持つのは当然だが、どうも食物連鎖による毒素の蓄積のようだ。フグの大まかな餌と言えば、ヒトデや貝類です。このヒトデや貝類は、毒を作り出すビブリオが付着した動物性プランクトンなどを食べて体内に毒を蓄積します。そして毒を体内に蓄積しているヒトデや貝を河豚が食べる事によって体内に蓄積している。よってフグ毒を含んでいない人工飼料などで育てられる養殖フグは、フグ毒の経口摂取がなく、また生物濃縮が起きないため毒素を持たない。

【可食フグの種類】
フグの仲間は、太平洋西部や東シナ海などの湾内に多く生息する。日本近海で獲れるフグは約50種類で、食用にするのは、トラフグ、真フグ、ショウサイフグ、カラスフグなど22種である。ただし、岩手県越喜来湾、釜石湾、宮城県雄勝湾で漁獲されるコモンフグとヒガンフグは除く。ナシフグは基本的には食用不可ですが、筋肉は有明海、長崎県橘湾、香川県および岡山県の瀬戸内海で漁獲されたものに限り食用可です。精巣は有明海および橘湾で漁獲され、長崎県が定める要領に基づき処理されたものに限り食用可とされている。

トラフグ属-トラフグ、カラス、シマフグ、ゴマフグ、マフグ、ショウサイフグ、コモンフグ、ヒガンフグ、アカメフグ、クサフグ、メフグ、サンサイフグ

サバフグ属-シロサバフグ、クロサバフグ、カナフグ

ヨリトフグ属-ヨリトフグ

ハリセンボン属-ハリセンボン、ヒトヅラハリセンボン、ネズミフグ

イシガキフグ属-イシガキフグ

ハコフグ属-ハコフグ

【トラフグの蘊蓄】
薄造り、ちり鍋、雑炊がお決まりのコースだが、唐揚げや焼き物にしてもトラフグは旨い。白子も高級食材で、鍋に入れたり、炭火で焼く(白子の握りもある)と絶品である。大阪ではトラフグの刺身を「てっさ」、鍋を「てっちり」と呼ぶ。ここで言う「てつ」は鉄砲のことで、フグの毒に当たると一発で死ぬことからきている。

【トラフグの漁法】
一本釣り、延縄、かご漁、定置網など

【安岡ねぎとは】
“福ねぎ・下関ねぎ”を知る

【トラフグの基本データ】
分類:フグ目フグ科トラフグ属
学名:Takifugu rubripes (Temminck and Schlegel,1850)
地方名:シロ、ホンフグ(大分県別府、山口県下関)、マフグ(兵庫県、広島県、山口県下関)、ダイマル、オオフグ(香川県、岡山県)、モンフグ、ゲンカイフグ(大分県、長崎県壱岐)、シロマル、テッポウ(大阪府)、キタマクラ/モンフク(高知県)、クロモンフグ(大分県)、イガフグ(富山県)、オヤマフグ(紀州)、フク(福岡県)、クマサカ(秋田県男鹿)、クマサカフグ(新潟県石地)、トジラフグ(福岡県柳川)
魚名の由来:虎河豚の「虎」の由来は不明です。海の底を吹いて(水流)餌を食べることから、「吹く」と付いた。

(2026年6月30日加筆)

主産地

長崎 福岡 愛媛 山口

名産地

玄海灘