【握り寿司: 光り物】日本近海を中心に日本海、黄海、東シナ海、オホーツク海、北西太平洋に広く分布し、沿岸から沖合の表層を大群で回遊している。春から夏には餌を求めて北上し、秋から冬には水温の低下とともに南下し、越冬します。ほぼ周年産卵している。1年で約15cm、2年で約18cm、3年で約20cm、全長25cmぐらいまで成長する。体側には7つ前後の黒点がある。別名は7つ星。寿命は7年以上と考えられる。数十年単位で豊漁期と不漁期の波があり、不漁期には高騰し、1kg当りUS$100を超えることもある。
通常、鰯と言えば、マイワシを指す。マイワシは漁獲量が多く、鮮度落ちも早いので、下魚(げざかな)として扱われていました。したがってすしネタとしてそろえておく店は少なく、特に高級寿司店にはありませんでした。マイワシの脂質含有量は産卵期(12月)を過ぎると、2~3%と少なくなりますが、夏から秋にかけての旬の頃は、25~30%に増えます。
寿司タネとしてはマイワシが使用される。梅雨の時期、身に上質な脂を豊富に蓄え、食べては口の中に入れるとトロける。青魚好きにはたまらない一品だ。おろし生姜とアサツキでさっぱりと食べたい。10cm前後のものを小羽(こば)。15cm前後のものを中羽(ちゅうば)。20cm以上のものを大羽(おおば)と呼び、梅雨の時期に獲れる中羽のイワシは最高級品だ。ただし鮮度が極めて落ちやすいので、小骨を抜くなどに職人の手際の良さが求められる。
【トレビア】
古くから食用とされてきたが、平安時代には卑しい魚といわれ、宮中ではその塩糟が紫黒くなることから「御紫」と呼ばれていた。それでも、紫式部や和泉式部は鰯が好物だったため、人目を忍んで食べていたという。また、節分の時期には、鰯の匂いとヒイラギの棘が鬼を祓う魔除けになるといわれ、鰯の頭をヒイラギの枝に刺して戸口に立てる風習がある。
【仕込み方法】
仕入れたらすぐに氷水に漬け、直ぐに内臓を取って処理をします。
【鰯の目利き】
体側に7つ以上の黒点があり、これがはっきりしているものや背の青みに光沢があるものは新鮮だ。逆に目が赤くなっているものは鮮度が落ちている。頭が小さく背側が張り出しているように見えるもの、尾のつけ根の細いもの、太っているものは脂が乗っている。
【マイワシの栄養と効能】
良質のたんぱく質も豊富だが、注目すべきは量と質。6月~7月に掛けて脂肪を豊富に含み、魚の中ではトップクラスとなる。脂肪を構成する脂肪酸のうち、酸化されにくい飽和脂肪酸、酸化されにくく動脈硬化を予防する一価不飽和脂肪酸、酸化されやすいが高脂血症などを改善する働きをする多価不飽和脂肪酸のいずれも豊富に含んでいる。血液を固まりにくくし動脈硬化を防ぐEPAや血圧上昇を抑えたりするDHAを豊富に含んでいる。カルシウム、マグネシウム、リンを富んでおり、いずれも歯や骨を丈夫にするには欠かせないミネラルである。ビタミン Dも含まれているので、成長期の子供や骨粗しょう症が心配な中高年女性は、積極的に食べてほしい食材である。貧血を予防する鉄分、味覚や嗅覚の機能を高める亜鉛も多い。脂肪やたんぱく質の体内での働きを助けるビタミン B2、B6、神経細胞の働きを助けるビタミン B12なども多い。
【イワシの漁法】
現在の漁法は、流し網、巻き網、定置網など。昔は地曳網、船で引く鰯網など
【イワシの基本データ】
分類:ニシン目ニシン科マイワシ属
学名:Sardinops melanostictus (Temminck and Schlegel,1846)
地方名:オイサザ、オオイワシ(長崎県壱岐、近畿地方、九州地方)、ギンムシ(高知県)、コチュウバ(千葉県)、ヒラ(宮城県)、ヒラゴ(大阪府、和歌山県、瀬戸内、高知県)、ヤシ(福島県)、ナナツボシ(東北地方、兵庫県明石)、ドオコ(越後)、ネコモリ(富山県)、ヒラレ(浜名湖)、カブダカ(紀州、三重県)、オラシャ(広島県)、コバ(福岡県玄海)、ヤマトミズーン(沖縄県)
魚名の由来:すぐに死んでしまう弱い魚であることの「よわし」が転じたとされる。