【握り寿司: エビ・カニ】
タラバガニは、生よりも茹でた方が甘みも旨みも強く感じられる。巨大な脚肉そのものを活かした握りは、シャリとのバランスという点では決して理想的とはいえないものの、その圧倒的な食べ応えには大きな満足感がある。
ただし、タラバガニは江戸前寿司の定番ネタではないため、東京でこれを握る寿司屋はほとんどない。寿司職人としては、活きたタラバガニを仕入れて店で茹で、まだ温かいうちに食べてもらいたいところだろう。しかし、何しろカニ自体が大きいうえ、大きさによっては一杯十万円を超えることもある。個人経営の寿司店では一杯分を使い切るのも容易ではなく、かといって価格を考えれば、その原価だけで一貫がコース料金に近いほどの高額になりかねない。
生の冷凍品も流通しているが、そこまでしてタラバガニを握る必要性はない。より扱いやすく、寿司との相性にも優れた別のネタを選ぶ寿司職人の方が多いのだろう。実際、タラバガニの握りを見かけるのは、回転寿司店やカニ専門店などが中心で、冷凍品が使われることも多い。ただ、解凍したものは水っぽさを感じることがあり、味わいの面では物足りなさが残る。
やはりタラバガニは、寿司ネタとして無理にシャリと合わせるよりも、茹でるか蒸すかして、そのまま脚肉を豪快に味わう方が、その甘みや旨み、そして何よりも圧倒的な食べ応えを存分に楽しめる食べ方ではないだろうか。
【アラスカ州のタラバガニの現状】
アラスカ州のブリストル湾におけるタラバガニ漁は、2021年、漁を維持するために必要な個体数の基準を下回ったため、26年ぶりに漁が禁止され、2022年も状況が改善されないことから、2年連続の禁漁が決まった。
その後、ブリストル湾のタラバガニ漁はすぐに元の状態へ戻ったわけではない。2023年の調査で成熟したメスの個体数が開漁基準を上回ったため、2年ぶりに漁が再開されたものの、漁獲枠は約975トンに制限された。2024/25年には約1,048トンへ、さらに2025/26年には約1,216トンへと漁獲枠が増加している。
しかし、資源量そのものは依然として低い水準にある。2024年の資源評価でも、ブリストル湾のタラバガニ資源は過去の豊富だった時期と比べて少なく、将来的な回復については不確実性が残されていた。禁漁によって資源がある程度維持された一方、産卵から漁獲対象となる大きさまで成長するには6~7年ほどかかるため、禁漁の効果が資源量に現れるまでには時間がかかると考えられている。
2026年現在、ブリストル湾のタラバガニ漁は再び行われている。ただし、これは資源がかつての水準まで完全に回復したことを意味するものではない。資源が少しずつ改善していることを確認しながら、漁獲量を慎重に調整している段階といえる。2026/27年の漁期に向けても、アラスカ州当局は引き続き資源調査と漁業管理を続けている。
【タラバガニの生態】
鱈場蟹(タラバガニ)はアラスカ沿岸の北極海、ベーリング海、オホーツク海などの水深30~360mに分布しており、日本近海では北海道周辺に生息しています。甲羅の幅25㎝、脚を広げると大きいものでは1m以上になります。現在、日本近海での漁獲量が減っているため、市場で流通しているタラバガニのほとんどはロシア産となります。地の利を生かし、生きたまま輸入されたロシア産のタラバガニは、高い品質を誇る。ただ、日露カニ密漁防止協定により、日本に輸入されるロシア産タラバガニは減少し、代わりにアラスカ産のタラバガニが増加している。アラスカ産は足が太く、身入りがいいことで人気がある。漁期は9月末から2月末である。その他にも、カナダ産、ノルウェー産、アルゼンチン産などがある。
【タラバガニの漁法】
底刺し網、籠網など
【タラバガニの基本データ】
分類:十脚目タラバガニ科タラバガニ属
学名:Paralithodes camtschaticus (Tilesius,1815)
地方名:クラッカ、アンコ
由来:鱈の漁場で多く獲れることから、その名が付いた。
(2026年9月5日加筆)
北海道
晩秋~冬