光り物(HIKARIMONO)

秋刀魚の握り寿司の画像
秋刀魚の握り

秋刀魚の握り

【握り寿司: 光り物】サンマは北太平洋に広く分布し、東部に生息する群れはアメリカ西海岸にも出現する。日本の太平洋側を回遊してくる群れは、夏の終わりから初秋の頃に、親潮に乗って南下する。冬には九州南方まで回遊するが、その後、反転して黒潮に乗って北上する。

サンマの脂質含量は北海道東方沖では多く、9月の太ったサンマでは21%に達する、脂質は皮下組織に多く含まれる。この脂ののった秋刀魚の塩焼きは、秋を代表する味と誰もが認める。脂質は南下するにつれて成熟と産卵に消費され、産卵が始まると脂質含量は5%以下に減り、皮下組織の脂質はほとんどなくなる。

江戸前寿司の伝統ではサンマの握りは邪道とされたが、今では全国的に見かけるようになった。脂ののった秋の生サンマは、ネタに飾り包丁を入れ、おろし生姜と青ネギを添えて食べると格別だ。実は握りで食べるには脂があまり乗ってこない方がいい。よって本来の旬は、秋だが、すしネタとしては漁が解禁となった直後の夏場に、北海道で揚がったものが良いとされる。

秋刀魚にはペンネラという寄生虫が表皮に付くことがある。人体には影響ないようだが、これが別名「ひじき虫」と言われるように、黒い紐のようでグロテスクだ。秋刀魚には貴婦人のような美しさがあるだけに、ボロをまとったようなペンネラは不似合いである。

【サンマの目利き】
身がよく締まり、尾まで太っているものがよい。頭の後ろが盛り上げり、全体的に丸みがあり、口端の黄色なのは脂がのっている証拠である。鮮度落ちしたのは、尾びれの真中の黄色が変色している。冷凍物は目が白いのが特徴です。

【サンマの漁法】
江戸時代には、サイラ網が普及。明治時代には、流し刺網。戦後は、集魚灯を利用した棒受網が主流となる。

【サンマの基本データ】
分類:ダツ目サンマ科サンマ属
学名:Cololabis saira (Brevoort,1856)
地方名:サイラ、サエラ(関西地方、南紀地方、高知県、長崎県、鹿児島県)、カド(三重県)、サヨリ(富山県、石川県、和歌山県、愛知県)、サヨラ(京都府)、セイラ(長崎県壱岐)、バンジョ(新潟県佐渡)、サザ、マルカド(鳥羽)、サイリイ(大阪)、サイロ(三重県)、ダンジョウ
魚名の由来:体の細さ「狭真魚(さまな)」と表したことからきている。

主産地

北海道 岩手 宮城

名産地

宮古 釧路 石巻 厚岸