【握り寿司: 貝】バカガイは東南アジアから日本にかけての広い地域の浅い砂泥地に生息している二枚貝です。豊洲市場ではかつての名産地千葉県青柳村にちなんで、青柳と呼ぶ。食用となるのは、足の部分だ。酸欠に極端に弱い貝なので、砂抜きができない。そのため殻付きで流通することはなく、産地で剥き身となる。
バカガイの身は成分的にはハマグリに似ている。たんぱく質含量は約11%で、ハマグリの6%より多い。脂質はどちらも0.5%である。カロテンは5㎍と貝類にしては多い。たんぱく質のアミノ酸組成はハマグリとよく似ている。旨みはほとんどアミノ酸類が関与している。ただし、グリシンはホタテガイより少ないから、甘みは然程感じない。ハマグリに比べるとややコクがないように感じるのは、コハク酸が少ないからであろう。
鮮やかなオレンジ色の身はしっかりとした歯ごたえで、口の含むと磯の香りが広がるネタだ。剥き身をさっと湯通ししたものが寿司ネタとなる。足の先がピンと突きあがっているものがいいとされる。強い甘みに、渋みとも苦みともとれる独特の癖のある味わいがある。これを堪らない味とする人と嫌う人に二分される。寿司飯の甘さや酸味との相性は抜群ですが、好き嫌いがはっきりするネタなので、使わないすし職人がいる。
【アオヤギの目利き】
足の色は燈色から朱色で、身肉に艶があるのもんを選ぶこと。剥き身を叩いてみると、動くものが新鮮な証拠です。
【バカガイの漁法】
腰捲き、大捲き。ポンプ漕ぎ網、底曳網、潜水漁など
【バカガイの基本データ】
分類:マルスダレガイ目バカガイ科バカガイ属
学名:Mactra chinensis Philippi,1846
地方名:ミナトガイ、サクラガイ、ヒメガイ、バカ、クツワガイ、カムリガイ
由来:前述の通り。