白身(SHIROMI)

ヒラサマの握り寿司の画像
平政の握り

平政の握り

【握り寿司: 白身又は色物】
ヒラマサは体長1mほどにもなるブリの仲間で、市場では略して「マサ」と呼ばれます。鯵と同じく青背魚ですが、寿司屋では白身魚として扱われます。

春から初夏にかけての天然ブリではブリ糸状虫の寄生率が高まる傾向があるため、この時期はカンパチやヒラマサが代わりに使われることがあります。しかし、ヒラマサはブリに比べて漁獲量が極めて少なく、寿司店でも使いたい時に必ず使えるとは限らない寿司ネタです。

ヒラマサは上品な脂としっかりとした歯ごたえが特徴です。一般に魚は太っているほど脂がのって美味しいとされますが、ヒラマサは太りすぎると大味になりやすく、2~4kgほどの大きさが食べ頃とされています。天然物は「艶があり、ブリよりも格段に旨い」と評する人も少なくありません。

寿司では皮を引いて、生で握られることが多いものの、昆布締めにしたりと、さまざまな仕事が施されます。味わいは一見淡泊に感じますが、実は複雑で、旨みと甘みが調和した味わいを楽しめます。夏場の寿司ネタとしては、カンパチやシマアジにはない魚本来の旨さがあり、ネタケースで見かけたらぜひ味わっていただきたい魚です。ただし、東京の江戸前寿司店で出会える機会は多くありません。ある寿司職人は「寿司職人の腕とは、価値の低い雑魚をいかに美味しく下処理するかにある」と話していました。また、ヒラマサのような大型魚は、一軒の寿司店で使い切ること自体が難しいともいわれています。

従来、世界中のヒラマサの学名は Seriola lalandi とされていました。しかし近年のDNA解析や形態学的研究により、地域ごとに遺伝的・形態的な違いを持つ3種であることが明らかとなり、日本・韓国・ロシア極東など北西太平洋に分布するヒラマサは、Yellowtail amberjack (Seriola aureovittata)、東部太平洋に分布するものは、California yellowtail (Seriola dorsalis)、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど南半球に分布するものは、Yellowtail kingfish (Seriola lalandi) として再分類されました。

なお、超大型のヒラマサを大量に食べてシガテラ中毒を起こした事例も報告されています。通常の食事量であれば問題ありませんが、産卵期の10kgを超える大型魚や、南方海域で漁獲された個体は避けた方が無難です。

【ヒラマサの生態】
ヒラマサは、太平洋、インド洋、大西洋など世界の温帯から熱帯の海域に広く分布します。日本周辺では、北海道と琉球列島を除く日本各地の沿岸域に生息する。ブリよりもやや温暖な海域を好み、沿岸の岩礁域や沖合の瀬など、水深約10〜100mの海域を回遊します。幼魚は流れ藻の周辺で成長し、成魚になると単独または小規模な群れで行動します。

体形はブリやカンパチに比べて細長く、やや側扁しています。背側は青緑色から青灰色、腹側は銀白色をしており、体側中央を走る鮮やかな黄色の縦帯が特徴です。ブリ類の中では体高が低く、頭部が小さいため、全体的にスマートで引き締まった体形をしています。標準的には全長約80〜100cmに成長し、漁獲される個体の多くは60〜100cm前後ですが、大型個体では全長120cmを超えるものもあります。

【ヒラマサの旨み成分】
肉質はブリとほとんど同じで、水分が60%前後と低く、一方脂質含量が高い。特に旬の夏場には20%近くになる。引き締まった身の歯ざわり、さらりとして脂肪の塩梅は、カンパチと甲乙つけがたい。

またエキス中の成分として多いのは、ヒスチジンとアンセリンである。ブリの身にはアンセリンが検出されてないので、両者の呈味の差に関係している可能性がある。

【トレビア】
日本では古くから食用として馴染みがあったようで、江戸時代後期の生活実用書「魚鑑」に「ブリに似て、味わい美し」とある。寿司ネタとして使われるようになったのは、昭和の初期頃からと言われる。

【ヒラマサの目利き】
鮮度よいものは背の緑色が濃く、腹部が白い。養殖ヒラマサは特有の黄色縦縞の色が薄い。

【ヒラマサの漁法】
巻き網、定置網、一本釣りなど

【ヒラマサの基本データ】
分類:スズキ目アジ科ブリ属
学名:Seriola aureovittata Temminck & Schlegel, 1845
地方名:ヒラス(大阪府、高知県、九州地方)、シオ(三重県鳥羽)、ショノコ(新潟県)、ハチ(新潟県)、ヒラバタケ(富山県)、ヒネゴ/テンコツ(鹿児島県)、ハマス(幼魚:高知県)、ヒラソ(島根県、山口県)、マサ(富山県)、ヒラ(京都府宮津)、ヒラサ(広島県)、マヤ、ヒラブリ、ヒラソウジ(奄美)
魚名の由来:「平鰤」という当て字があるように、鰤(ブリ)よりも平たいことからきている。「政」はまっすぐな木目を表す「柾目(まさめ)」に由来する。
栄養成分:100gのカロリー142kcal。

(2026年8月6日加筆)

主産地

宮城 岩手 鹿児島

名産地

伊豆諸島

春~夏